やりたいことは、とにかく手をつけよう私と同世代の知人が、仕事をしたいと言う。専業主婦として家と夫を支え、子どもを育て上げ、夫は退職して第二の職場で働いている。 家庭のことや子どものことで、いまだに心配事はあるけれど、一度社会で働いてみたいと言うのだ。 ご主人は、妻を働かせたくないらしく、彼女が仕事に出ることに首を縦に振らないらしい。 仕事をしたいという気持ちである資格を取り、今、仕事への誘いがかかっているから、このチャンスを逃したくないと言うので、「それなら、『これが最後のチャンスだから、働きます』と宣言したら?」と言ったけれど、決心はつかないらしい。 長い結婚生活を、夫の顔色を気にしながら、すべてお伺いをたてて生活してきた、今時珍しいような「日本女性」である。 「私達の残り時間は、そう多くはないんだよ。 能力も体力も、もう低下の一途だし、チャンスだっていつもあるわけじゃない。 本当にやりたいのなら、勇気を出して嫌な思いをすることも覚悟でやってみたら?」 一緒に話をしていた二人が、異口同音に彼女にエールを送った。 彼女が本気でその仕事をしたいのなら、どのようにしたら家族を説得できるかにエネルギーを使ったほうがいい。 自分の未来を切り開くのは、自分の「意志」でしかない。 私は運命というものの大きさも解っているつもりだけれど、その運命だって自分の意志というか、思いの強さによって、自分にとって少しでも良い方向に向けられると信じている。 しかし、あまりにも過酷な人生だったり、痛い思いをし続けた結果、「諦める」ことが習性になってしまうことがある。 「諦めるのはいつでもできる。可能性が消えるまでは頑張ってみようよ」 ほぼ諦めているようで、それでも諦めきれないような彼女の顔を見ていて、私にはそのくらいしか言う事ができない。 そして、あらためて自分に言い聞かせた。 「やりたいことがあったら、とにかく手をつけることにしよう」 2003年07月28日 |